vol.3 那智の滝の不思議な水事情



那智の滝は、和風美人であるっ!

いきなり絵はがきに出てくるような写真を撮ってしまいました。(^^ゞ いや〜、それほど「那智の滝」は美しかったということなんです。そんでもって、そう思わせる演出がスゴイのだ!

那智大社を出て駐車場に戻った一行は、車で2分ほど下ったところにある「那智の滝」入り口前の駐車場に到着しました。あいかわらず暑さは絶好調、まわりの森で「じーじー」と鳴いているセミの声が恨めしく感じます。

運良く数台しか入れない駐車場に車をもぐり込ませて、滝へと続く参道の入り口へ向かいました。ここで美しく見せる演出 その一が登場です。那智の滝への道は普通の観光地みたいに、舗装されたコンクリの道を、ペタペタ歩くなんて野暮なシロモノではないのです。まっすぐに林立する巨木に囲まれた荘厳な山道を、ひたすら下へ下へと下るのですね。でもって道の両側には、苔(こけ)むした石が幾重にも重なってて、この苔石がまた良いカンジなんです。
巨木と苔石と山道、この3つが一体になって「結界」を作っているのですね。だから、行き交う人たちも自然と敬虔(けいけん)なキモチになってくるらしく、いつもはキャピキャピ語を連発してあたりお構いなしのケータイピーピー女の子たちや、ベタベタ「うっふん」カップルも、言葉少なに凛々(りり)しい顔をして歩いているのですホンマかいな?

しばらくこの結界のトンネルを下ると、急に視界が広がって平坦地に出ました。そこは街の公園くらいの広さで、左には土産物兼観光案内所らしき建物が、右にはうっそうとした森がひろがっています。そして正面には、いきなり「那智の滝」がどお〜ん

美しく見せる演出 その二。滝へと続く道の途中でちょっとだけよ、うふふ状態でチラチラと安易に滝を見せないのがにくい!参道はひたすら巨木と苔石だけで攻めておいて、最大のロケーションを発揮する場所まで、引っ張って、引っ張って、最後はどぉ〜んなのです。これは感動が何倍にも増幅されるシクミでスゴイ!演出って書くと失礼だとは思いますが、でも日本の他の観光地も、原色のウスラケバイ看板なんかで「絶景の○○はこちら→」などと書かずに、こういった自然の演出の中で、やさしく観光客を導いてくれれば、もっと感動があるのに…とシミジミ思ったわたしでした。

で、那智の滝です。
絶壁と空の間から、大量の水が滑り落ちているっていう表現がぴったりかな。TVでナイヤガラの滝なんかも見たことありますが、あれはヒジョーに外国的な滝でありまして、「どーどー」と流れている大滝に向かって、いかにも陽気なアメリカ人あたりが「YHAAA!」とか「OH!」とか叫んで、観光船で滝の近くまで行って、水しぶきを浴びて嬉々としている、っといったイメージです。しか〜し!那智の滝はぜんぜんちがうのです。 ^O^

あくまで楚々(そそ)として静かに。しかしキッパリとした意志を持って、ひっそりとその存在を主張している、っていう感じ。ナイヤガラが「陽気なヤンキー娘」だとしたら那智の滝は「ひかえめな和風美人」なのです。

「ひかえめな和風美人かぁ」…我ながらなかなか良い表現だぞ、うひひ……

あっ!いかんいかんいかん!ちょっと気を許したスキに、ヨコで妻と義母が退屈モードに入ろうとしているではあ〜りませんか。確かに俗物的に考えると、滝をバックに記念撮影をしてしまうとな〜んにもする事がないのですね、こういった観光地って…。



那智の滝の水事情は、フカいものがあったのだ

アセって、暑さでふーふー言っている二人に話しかけます。「あ、あのね。その柵の向こうに滝壺へ行ける道があるけど、行きますぅ?」と、その言葉を半分まで聞かないうちに、二人とも「ぷる ぷる ぷる!」って顔をヨコに振ります。暑さと、滝までの道のりで、二人とも戦意喪失らしいことがわかったので、しばらく休憩を取ることにしました。幸い、お土産なんかを置いてあるお店ありますから、そこに母子を放し飼いにする事に決定。私は周囲を嗅ぎまわる事にしました(なんせ、犬年っスから (^^ゞ)。

で、下の写真左が那智の滝の見学地見取り図です。このエリアをクンクンと嗅ぎまわっていると、右写真のような爆笑水飲み場(地図中「フツウの水飲み場」と表記の場所)を発見!

??…「延命水ではありませんが飲めます」って?……しばらく意味がわからなくて考えた後、やっとこの「フツウの水飲み場」の意図がわかりました。つまりカンバンを書いた人は「あ〜、なんだ。つまりだな、いくらか払ってもらって、滝壺への道を進んでもらいたいのだよ、ワシとしてはね。そ〜するとね、霊験あらたかな延命水が飲めるからね、わかった?」と言いたいのですね。

わははは!なかなかカワイイぞ!旅先でこういうフザケた看板を見るのはヒジョーに楽しいのです。だって「フツウの水飲み場」から「延命水」までは、わずか数メートルしか離れていないんですよ。だけど、かたや「ありふれた水」なんですね(んでもってこの水は水道水かとも思ったんですが、そ〜でもないコトも判明、ふふ!)。そんでいくばくかの通行料をはらうと霊験アラタカな「延命水」になる!……い〜ぞ、い〜ぞ!なんかタノシイ気分になってきました。やっぱり、観光地は不思議ワールドですね ^O^ しかも「延命水ではありませんが飲めます」の飲めますってトコロに限りない優しさを感じます。う〜ん……やはり、すべてにおいて「ヒトを優しく包み込むクニ、和歌山」なのでした……


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