vol.2 紀伊勝浦には人情の雨がふりそそいだのだ!



いよいよ和歌山に到着!

約8時間の移動です。12日午後2時22分、定刻通り列車は紀伊勝浦に到着。冷房の効いた車内から一歩ホームに出ると、南紀の「むわ〜」っとしたムシ暑い空気が全身を包み込みます。「あ、あぢ〜!」信州の湿気のない空気に慣れきっているわたし達は、もうこの「必殺暑さ攻撃」で、強烈なボディブローを食らった感じ。ダウン寸前の「ナニワのジョー」のような、フラフラの足取りで出口に向かったのです。

 おまけに紀伊勝浦駅の手前の那智駅あたりから、ざかざんざかざんと雨が降り出して来て、一行の気分をさらにダークなモノにしています。唯一の救いは構内に飾ってあったマグロのレプリカ。和歌山の「県の魚」がマグロだったとは知りませんでした。けっこうアートなマグロのレプリカにしばらく見入っていたワタシなのです。



〆ちゃんがぁ!

ここからはレンタカーで那智大社に向かう予定でした。一行は早くも暑さにアエギながら、駅の改札口を出て「駅レンタカー」の表示のある出口の階段を降ります。おりしも和歌山は19日までの「南紀熊野体験博」で大盛り上がり状態。いたる所にノボリ旗が林立し、階段の出口にはこ〜んな大提灯がド迫力で飾ってあります。「ひゃ〜」などと3人のイナカモノはそのデカさにオドロキつつ、外へ。

…出た途端です!あれ?…あれ?なんかこっちを指差してニコニコしているご夫婦がいます。……も、もしかしたら…〆ちゃん?……あ〜〜〆ちゃんが奥さんと一緒に迎えに来てる〜!だって今日は大事な鯨のセリがあったんじゃ?そうメールに書いてあったし…。などと、とまどっているうちに、お二人がホホエミながら近づいてきます

「有賀さんですね?」南紀の太陽のように明るい笑顔が、ワタシの目の前でニコニコと輝いています。「〆ちゃんですか?」

なんと突然のにわか雨を心配して、奥さんと傘を持って出迎えに来て下さったとのこと。もう、感激で胸がいっぱいです。

がっしりと握手を交わした後、手続きは妻に任せて、義母さんもほったらかしで(義母さんm(__)m)レンタカーの構内で〆ちゃんと夢中で立ち話です。達人さん(注 ネットの〆ちゃとん共通の友人。食の通販 店選びの達人というHPを開設している。)の事、ヒトミさん(注 〆ちゃんのネットのお客さんで、オーストラリアに留学中)の事、鯨、太地… 二人の会話を聞きながら奥様(ますみさん)は太陽のような〆ちゃんの笑顔の向こうで、向日葵(ひまわり)のような笑顔で、ニコニコと相づちをうっています。

しばらくしてレンタの手配ができたので、明日の再会をお約束して、「では (^_^)/~」とご挨拶したところ「那智大社は観光客用の駐車場で降りると、上まで上がっていくのは大変ですよ。わたし、地元の人が利用する上の方の駐車場知ってますから、ご案内しましょうか?」と、ご親切なお言葉。「いえいえ、そんな事までしていただいては!」とお断りしたんですが、「お義母さんなんか、那智大社の階段上がるのシンドイですよ」との事。心臓の悪い義母が、一昨年箱根の大湧谷で、アップダウンのキツサに座り込んでしまったことが、脳裏をかすめます。

ええいっ!こうなったらもう〆ちゃんに甘えちゃおう!と即座に決心。おやぢのズーズーしさ丸出しで「それじゃお願いできますか?」などと言ってしまったわたし。〆ちゃんの箱バンに先導され、うれし恥ずかしキモチを抱えつつ、レンタのカリーナを駆って那智大社に向かったのでした。

※感激の初対面の写真がありませんが、本当に思いがけず嬉しい場面って、その瞬間を楽しむのにいっぱいいっぱいで、写真なんか残そうっていうキモチなくなっちゃよねうんですよね? m(__)m


絶景!那智山。〆ちゃん夫妻とはシバシお別れなのだ…

〆ちゃんの先導で一路那智山へ向かった私たち。観光客が留める駐車場を通り越して、いかにも「地元の人だけが知ってるモンね〜」という道を通って、那智大社のすぐ近くまで先導してもらいました。さすがなのです!地元の人はヨク知っているよね〜、と私たちは感心しきり。しかし、こんなに那智の山が急勾配だったとは、予想を大幅に超えてました。もちろん軟弱なロープウェイなんて一切なし!「おまえら観光キブンじゃイカンよ!ここは信仰で来るとこなんよ」というポリシーでスルドク一本スジが通っているような気がします。
とにかく〆ちゃんのおかげで、大社のすぐ下にある駐車場まで連れてきてもらって、そこで記念撮影。考えてみたら感激の対面をしてから初めてのデジカメ写真です。

もしなにも知らないでノコノコと出かけていたら、絶対神社や滝に到達できなかったね〜と3人でうなずきあったのは言うまでもありません。だって下の写真のような急階段を「これでもか!」って登らないと、那智大社にはたどり着けないんです (ーー;)。心臓の悪い義母はもちろん、運動不足の私たちも絶対途中で挫折していたことでしょう。そしてよく事前調査しないで旅行に連れ出したわたしが「アホか、アンタは!」っと、女性軍に「冷たいワニ目」で見られたことは、まず間違いないでしょう。あ〜あ・ぶ・な〜。 つくづく〆ちゃんと奥様に感謝!

名残惜しいのですが、ここで〆ちゃんご夫妻とはいったんお別れです。なんでしたら、わたしらも一緒にぶらぶらと… ^O^などと〆ちゃんは言ってくれてますが、ダメダメ!そんなに甘えるわけにはいきません!明日のお店での再会を約束して、いったんサヨナラしました。



那智大社のストロングなお土産品に後ずさり?

〆ちゃん夫婦と衣ぎぬの別れ(う?少し表現がちがったか?)ののち、一行は急勾配の階段をヨタヨタと登ってようやく那智大社に到着です。ふう〜、し、しかし暑い!結構標高が高いし、森がたくさんあるから、こういう場所って夏でも涼しいはずなんだけどなぁ〜?とにかく生ぬるい空気の中を、酸欠の魚のように口をパクパクさせて歩きます。

結局今考えると、今回の旅の唯一の苦しみは、この「暑さとのタタカイ」だったような気がします。楽しさ9割、苦しさ1割の旅の「苦しさ部門」で輝けるNO1に輝き、スペシャルな「湿気+高温」の風呂場状態を(信州ではまず真夏でも考えられない暑さの質です)体験させてくれた、和歌山よ!ふ・ふ・ふ…今回はお前の勝ちとしておこうぢゃないか。しかし!また近年、体力を蓄えてショーブに来るからな!と汗でかすむ目を見開いてココロにカタク誓ったわたしでした。

そしてお参りをすませると、あとは恒例のお土産タイムなのです。これはワタシとしては簡単に済ませてもらいたいキモチもあるのですが、そんなことをいったら那智の滝に母子によって突き落とされそうなフンイキ。ふたりが「あ〜だ、こ〜だ」と言っている間に、おみくじを引いたり(小吉でした。以前伊豆の修善寺で引いたモノはなんと「凶」でしたから、まだマシか…)、この大社の霊鳥はカラスだと知りびっくりしたりしているうちに、社務所でオモロイお土産を発見!

写真のおみやとかみさまという絵本です。まず表紙のノスタルジックな絵のタッチがスゴイ!戦時中の少年画報なんかの巻頭カラーに「よいこのお絵かき」みたいな感じで出てきそうな絵!「ミチオ兄さんは、いもうとのハナコさんとチヤちゃんを連れて、神社におまいりにいきました」ってなコピーが載ってそうです。

さらにこれを買う人ってどんな人たちなんだろう?と想像すると、とても楽しいキモチになってきます。やっぱり信心深いオトーサンが買うんだろうな。大体対象年齢は4〜6才くらいだから、オトーサンは30才前後くらいだろ〜な?もしかしたら茶髪でロンゲのオトーサンアキノリ。この本を読んでオトーサンみたいにシンジン深くなるのだぞなどと言って、買い求めるコトもあるのだろ〜か?ううむ!などとあれこれ考えているうちに、無事お土産タイムも終了。

お土産タイムの間に、ようやく地獄のような暑さにも慣れてきたらしく、よぉし!次は那智の滝だ!というワタシの号令にも「ぉぉ〜!」とわずかながら反応を示すようになった母子を連れて、那智の滝に突進したのでした

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